社畜の対義語って遊戯王じゃね
こんばんは。
ぼくはひどく怒られたり、怒鳴られたり、絶叫されたりシャウトされたり
シャルウィダンスと手を差し伸べられたときには
たいていもれなく、反省しているふりをしてラーメンのことを考えています。
全てのラーメンが一同に会し頂点を決める、伝説のラーメンサバイバルバトル大会の
ゴングが鳴る妄想をしています。たいていいつもお店の塩ラーメンが強い。
彼はクールだけど選民思想をもった二枚目ヒールキャラで、がんばるカップ麺や袋麺たちを
「戦うだけの価値すらない」
なんて一笑に付すのですが、準決勝を前にして
控室で何者かに撲殺されているところを発見されるところまでがお決まりです。
同じく準決勝に進出していた元刑事の味噌ラーメンが、
出場したラーメンたちと、その時そばにいた観客のオムライスたち、大会役員のセロテープ
を集めて、さながら推理小説っぽい展開になるのですが
「いつもよりもほんのわずかに、味が薄い。それと、何か不純物の味も混じっている。
具体的に言うと、会場内に咲いているヒマワリの花粉の味が混じっている。
おかしい。これはおかしい。」
という、
どんぶりが割れて床にこぼれた塩ラーメンを食べた、
ダークソムリエ・マギィことぼくの一言から、すべては急展開を見せます。
そう、凶器は会場内いたるところに咲いているヒマワリだったのです。
ここで新米刑事のお米と、探偵のスマートフォンがやってきて
通常のヒマワリはラーメンを撲殺するのには、いささか強度が足りないことから、
会場内のヒマワリが、振ると硬くなる「アイアンヒマワリ」なのではないかという
推理を展開するのですが、ダークディティクティブ・マギィことぼくは異を唱えます。
「あれはアイアンヒマワリの味ではなかったのだ。おかしい。」
と。
ぼくの推理はこうです。
犯人は、この普通のヒマワリを、冷凍して硬くしたのではないか。
凍っていれば硬いし、凶器なるのではないか。
そうして犯行後、何食わぬ顔でヒマワリを解凍し、会場内に植え戻したのではないか。
この大会会場内で、冷凍庫を使うことができる人物、
そして、犯行時刻から塩ラーメンが発見される時刻までのあいだに、
急速に冷凍されたヒマワリを解凍することができる人物。
犯行時刻直前まで冷凍庫にいた、なおかつ、
そのあと試合を控えていたがために、沸かしたお湯を用意してもらっていた
冷凍タイプのラーメンといえば……
そう、犯人は、元刑事・味噌ラーメンしかいないのです!
彼が刑事をやめたのは、ラーメンだからというのもありますが、
何より冷凍ラーメンだからだったのでしょう。
皆様ご存じのとおり、警察組織にはいろうという場合、冷凍食品であると知れれば
まずそれはかないません。冷凍されているからです。冷たいのはだめです。
燃えるハートがないとだめなのです。
いつものように、インスタントのラーメンをバカにしていた塩ラーメン被害者は
そのインスタントラーメン情報のなかに、味噌ラーメンの名前を見つけたのでしょう。
それできっと、冷凍なのに刑事をやっていることを皆にばらすぞ、とかなんとかいって
味噌ラーメンのことを脅して、刑事をやめさせたのではないでしょうか。
きっと今日も、次の試合でわざと負けろとか、なんとか。
だから味噌ラーメンは、それを憎く思って…………
このあたりまで得意げに推理を披露していたところで、
ぼくは味噌ラーメンに思い切りげんこつを食らいます。
「馬鹿を言うな、冷凍ラーメンが警察になれなかったのは室町時代後期までの話で
今は警察でがんばっている冷凍ラーメンもたくさんいることでおなじみの時代だし
なにより私は冷凍じゃない
冷凍庫にいたのは、応援してくれているワンタンメンのところへ行ってたからだ」
濃厚な味噌味のスープを飛ばしながら、味噌ラーメンは続けます。
「第一、犯人はもう捕まっている」
ぼくが推理を展開しているあいだに、
おなじく大会出場者である醤油とんこつラーメンが
会場の外であっさり塩味のスープが滴るアイアンヒマワリを握って
ガタガタ震えていたところを確保されたとのことでした。
犯行動機は、準々決勝で塩ラーメンに負けた上にばかにされたことに腹を立てての
突発的なものとのこと。
デタラメな推理で場を混乱させたとか、そもそも床に落ちたラーメンを食べた時点で汚いとか、
飛び交うぼくへの怒号の渦に巻かれながら、ぼくは反省したふりをしながら
全てのカレーが一同に会し頂点を決める、伝説のカレーサバイバルバトル大会の
ゴングが鳴る妄想をはじめるのです……
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