今まで使っていたシャープペンが壊れてしまったので、新しいのを買おうと思い
このあいだの日曜日に、あたらしくできたショッピングモールへ行きました。
目的の買い物をすませた頃、ひとつ下の階に、
とても大きな頭に直接足が生えている、そんな出で立ちの何かが
歩いているのを、エスカレーター越しに見たぼく。
それは古いビデオのようにモノクロで、砂嵐のようなノイズにまみれていて、
心なしかにやつきながら徘徊していました。
周りに人はたくさんいるんだけど、だれもそれに気付いている様子はナシ。
「あれがなにかは分からないけど、とにかく良くないものであることに間違いはない!
ぜったいに、あれに関わってしまってはいけない」
本能的にそう感じたぼくは、隙を見て逃げ出そうと心に決めます。
あれは今下の階にいるのだから、こちらは下りのエスカレーターのあたりで待機して、
あれが昇ってき終えたのを確認したら、何食わぬ顔をして下の階へ降りよう。
そして、そのままこの建物を出たら、一目散に走って家まで帰るんだ……。
エスカレーター越しに下の階の様子をうかがい、気づかれないようにそれを探すぼく。
しかしそれはどこにもいない。
どこへ行った?
見ていない間に、さらに下の階へ降りていったのか?
もしかして、もうこの建物から出て行ったのかも?
確かめに行くか?
怖い。
でもここで待っていても仕方ない。
でも……。
ふいに感じる、ぼくの背中へのねっとりとした視線。
体が動かない。
すさまじい悪寒。
ビデオを早送りしたみたいな、ノイズまじりの声が、後ろから響く。
“みつけるのは、やさしかったよ
だって、きみのほうから、さがしていてくれたからね”そこで飛び起きたのです。時刻は深夜の二時半でした。
ああ、なんだ夢だったのか、と胸をなでおろしたぼくの目に映ったのは
机の上にある、まだ封の開いていない新しいシャープペン。
[2回]
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