何か難しいクイズを出した後、5分間だけ猶予をくれる、大きな黒い犬。
その名はディオニュソス。
ディオニュソスは突然現れる。
彼の低い声はよく通り、どれだけ離れようが、防音の個室に閉じこもろうが
クイズも、5分間のカウントダウンも、はっきりと聞こえてくるのだ。
そのクイズを聞いてしまった者は、正解を考えながら、彼の目の届かない場所へ
逃げなければならない。
彼の姿を見てしまった、彼の声を聞いてしまった、その瞬間から、そのクイズゲームの
参加者にカウントされてしまうのだ。どうあがこうが、ルールに逆らうことはできない。
5分間の間、参加者はクイズの答えだと思うものを頭に浮かべつづけなければならない。
一度でもちがうことを考えたり、集中力が途切れてしまったりすると、
「答えが間違っている」ということになってしまうのだ。
もちろん、ディオニュソスに対する恐怖心でさえ、頭をかすめてはいけない。
5分が過ぎたらディオニュソスは、目をらんらんと光らせ歩き始める。
隠れている回答者達を探すのだ。
彼が探すのは、「間違えた」回答者ただそれのみ。
彼の瞳は悪魔の目であり、視線を向けたものを一瞬で手にかける。
そうして一番最初に“見つけた”1人のみを、咥えてどこかに去っていくのだ。
そんな夢を見たのだ。こわかった。
[3回]
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