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ときどき記事のタイトルをナンバリングして、シリーズっぽくしている日がありますが
前回の記事の続きとかでもなんでもないです。なんの意味もありません。きまぐれです。
ただの、ややこしくして皆様を混乱の渦に突き落とさんとする悪しき謀略がひとつです。
そうさぼくこそ魔王ぞ!こんばんは。



とても久しぶりに、高校時代に使っていた電車に乗りました。

学生のころは電車・バス通学でしたので、毎日乗っていたぼくでしたが
今はといえば、D・ホイーラーと化してライディングデュエルに命をかける毎日。
公共機関を利用する機会は、当時にくらべてめっきりとすっかり減っていました。
メッキリン っていう、一度だけ魔法ダメージを反射できるキリンのモンスターとか
面白そうですね。一度は跳ね返せるものの、メッキがはがれてしまってただのキリンに
なるの。剥がれたあとは首が動かしやすくなって、アグレッシブルに攻めてくるとか……
なんの話だろう。話がそれました。これは電車様の話でした。

そんな、今ではすっかり魔法反射メッキで全身をコーティングしているぼくが、
そう、とてもとても久しぶりに、懐かしい電車とバスを利用することになったのです。



超怖かった。



その感想はと言うと、それです。その一言に尽きます。尽きました。

当時のぼくはといえば、学生服に身を包み、重たいカバンをいくつも提げて
改札で使った定期券をそのカバンにしまうかしまわないか、持て余しながら
毎朝の満員な電車に乗ってたのです。
それがぼくにとっての「普通」でした。高校卒業からずいぶん経ったぼくですが、
その、叡智の泉に例えられる脳の片隅に、いまだその「普通」は残っていたようなのです。
「普通」じゃあないことをしている気がして、とっても怖かったのです。

制服なんて着ず、カバンも持たず、荷物といえば財布と携帯、あと切符だけ。
脳内に残された「普通」に真っ向から反している状況に、
周りが自分を好奇の目、おかしなものを見る目で見ているかのような気がして
まるで自分がすごく場違いであるかのような、ものすごい失態を犯しているかのような、
そんな謎の不安と罪悪感に苛まれたのです。せめて、衣服は着ていくべきでした。

目的の駅で降りて、駅前でとりあえずカクテルハットと蝶ネクタイを買って身に付けたぼくは
バス停の前で待ちます。
運命のいたずらかはたまた神の慟哭か、その待つバスというのも、
当時利用していたそれでした。学校で降りるわけでもないのに、乗ってるとだんだん
胃が痛くなって、泣きそうでした。というか泣きました。人目をはばからずわんわん泣いていると
迷子センターへ連れて行かれました。飴をひとつもらいました。

鳩尾への肘鉄に耐え切れなくなってセンターの窓ガラスを割って飛び出したぼくは
かつてのいつもの通学ルートを見下ろせる高台に立っていました。



云年たってから改めて訪れた町は様変わりしていて、
あの日バスから新装開店をみた店はつぶれ、あの日誓った愛はズタズタで、見る影もなくなり
だけどあの日作った雪だるまだけは健在でした。今でも通行人を捕まえて食べていました。

それなのに、ぼくだけがずっと、
ずいぶん昔に作り上げた「普通」という名の勝手な価値観に、縛られて、
ひとり取り残されていたのでしょう。
ぼくはその衝撃に、わざわざ電車に乗って行った本来の目的さえ忘れました。
べつに電車に乗る用事がなくたっていいし、久しぶりに乗って学生時分を思い出すのも
いいけれど、それと今の自分を比べて不安に駆られる必要というのもないのです。
あの頃憧れた場所に、確かに今ぼくは立っているのだから。
ただちょっと思ってたよりろくな場所じゃなかったのだけど、それはそれ。
自身を持って、電車くらい堂々と乗ってやろうと、謎の決意を新たにした昨日でした。





帰りはティオメンテを使いました。

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