なんか突然思い立って、1日がかりで部屋をきれいに片付けて模様替えをしました。
小学生の頃使ってた筆箱がでてきました。
この筆箱は、お気に入りだったのですが、小学5年か6年ぐらいのときに
ファスナーの部分が壊れてしまって、使わなくなってたやつです。
当時のぼくはこれを、どうしても捨ててしまいたくなくて、
「いまは直せなくても、未来の自分に託そう!」と思い立って
机の引き出しの奥に入れていたのですが、それがでてきたんですね。
直そうとがんばったけどダメだった思い出がフラッシュバックしてきたのと
過去からの挑戦を受けたような気になったので、よっしゃ直してやるぜ!と思って
調べてみたんですが、開け閉めのときに動かす金具(スライダーというそうです)
が、片方のギザギザ(エレメントというそうです)からはずれていました。
当時ははさみと鉛筆でこじ開けて挟みなおそうと頑張ってたのをと思いだしました。
しかし今のぼくは違います。今のぼくは、何かこじ開けようという場合においては
ラジオペンチだって、ニッパだって持っているのです。
文房具なんかじゃない、本物の工具を使いこなすことができるのです。
金具に芯を突っ込んでは折れてゆく鉛筆など見ることもありません。
それらを駆使して挟み込みなおそうとしたのですけれど、
また噛ませようにも、そもそもギザギザ(エレメントというそうです)が数センチ
布地からちぎれてとれてしまっているようなのです。
成長しています。これは小学生当時には気づかなかったポイントです。
当時のぼくなら、やぶれたものやこわれたものは、
ただ1つの例外もなく、セロテープでくっつけようとしたでしょう。
それこそ、たとえ夢だろうが友情だろうが、おかまいなしです。
しかし今のぼくは違います。今のぼくは、裁縫道具を上手に扱うことができるのです。
針に糸だって通せるし、玉結びも玉止めも思いのままです。
当時のぼくも裁縫はできましたが、最近部屋ですっ転んで
つかんで破れたカーテンをきれいに直したりしたことのあるぼくのほうが
スキルは断然上なのです。
とれたエレメントを筆箱に縫い付けなおしましたが、ここから先、
どうすればいいのかよく分かりません。
当時のぼくなら、分からなくなったときは
途方に暮れたり、あきらめたり、飽きたりしていましたが、
しかし今のぼくは違います。今のぼくには、文明の利器・パソコンによって
Googleとかにアクセスすることによって、無限の知識を得る
能力が備わっているのです。正確にはぼくの能力ではありませんが、
こればっかりは全て時代のせいです。
で、調べたら、ふちの留め具をはずしてそこから引っ掛けるといいよ!
って書いてあったので、
ぼくは留め具を
大人の武器・ニッパとラジオペンチではずし、そこから上手に
スライダーを引っ掛けなおし、ファスナーを修理することに成功したのです。
はずした留め具はもうつけなおすのは無理そうだったので、
留め具無くなってひらいてしまったところは、かわりに縫合しました。
なんと誰もがあきらめていた筆箱は、ぼくのゴッドハンドにより無事に直りました。
大きくなったぼくにできないことなど、なにひとつ無いのです。
満足感にひたりながら、
さっそく直したファスナーを開け閉めしました。
ここがスムーズに動くのが、この筆箱をお気に入りだった理由の1つでもあります。
……しかし、その感触は当時のものとは似ても似つかないものでした。
硬くて、力を入れないと動かないのです。
やっぱりぼくは、1つも成長などしていなかったのだろうか。
ぼくはただ、自惚れていただけなのだろうか。
筆箱を直した気になって、その実、それは、外面だけを取り繕った
見た目だけのものでしかなかったのだ。
それは成長というよりもむしろ、絶望に心を閉ざし、
体裁ばかりを気にし、本当の自分を押し殺して生きる
汚れきった人間になってしまったということを表しているのではないだろうか?
ぼくはおもわず膝を落とし、うつむきました。
立って正面を向いていることが、まるで、汚れた自分を外に晒しているような
そんな風に思えたのです。
模様替え中でおかしな角度に家具が並んだ歪んだ部屋の中、
このまま混沌の渦に呑まれて、沈んで、消え去りたい。
だんだん暗くなる部屋のなかでそんなことを考えていると、
ぼくの目はふいに、一角のガラクタの山に留まりました。
それはクローゼットの奥にあったよくわからないものたちで、
ぼくはその中から、プラスチックのケースを拾い上げました。
その一連の行動には、これといって意図があるわけではありませんでした。
それは小学生の頃の、ミニ四駆の部品のケースでした。
細かく仕切られたスペースに、歯車やらネジやらが
それっぽく分けられてじゃらじゃら入っていました。
万が一ひっくり返しても散らからないように
ネジやナットのところには一緒に磁石が入れてあったりと、
子供ながらに考えたんだなあ懐かしいなあなんて思って傷心のなか、みていると
一番はしの、縦長に区切られたスペースに、なにか汚い水色のものを見つけました。
---
筆箱には、家で絵を描いたりするときに使う、
濃い鉛筆やらペンを入れました。
昔よりすこし不恰好になったファスナーは、
昔のままの滑らかさで開閉します。
机や本棚の位置が変わって、ちょっと雰囲気のちがう部屋のなか
ぼくは椅子の埃を払ってゆっくり腰掛けると、
うす汚れた、ちいさなグリスのチューブを、手のひらの上で転がしてみるのでした。
ただの日記を書くつもりだったんですが、
ゴッドハンド~ のあたりで、
そうだ筆箱の手術っぽいドキュメンタリーな感じのネタにすればよかった!て思って
今からでも遅くない!というわけで突然、感動巨編風になりました。
★Webザ拍手イズお返事
>
mixiの住所は県名は必ず選ばなくちゃいけませんが市区町村は任意ですよ。
あと名前はHNや適当な名前をつけただけの人が多いです。>
個人情報は大切ですよね。
どうでもいいのだけ公開するって手もあります。
靴のサイズ24cmとか。(スラピー ありがとうございます、早速虚偽情報に書き換えてきました。
あれからちょっとまたやってみたんですが、やっぱりぼくは
ここみたいに、ただ一方的に妄言垂れ流すだけのほうが好きかも。
[0回]