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びよんびよん王国に行きたい。こんばんは。
びよんびよん王国が何かは知らない。



きっと首やら手足がバネのような人たちがくらす国なのでしょう。
暮らしているダックスフントも、腰がびよんびよんです。しかもかわいい。

みんながバネだから、交通機関なんかもぼくらの知っているそれとは少し違って、
みんな歩くかわりに体のバネを活用してのジャンプで目的地へ行くのです。
足の裏にバネがついたクツとか穿かなくても、それがかなうのです。すごい。
ちいさいころはジャンプ力も低いし、うまく目的地に着地できないんだけど、
成長するにしたがって、玄関開けてジャンプして、一発で仕事先までたどり着けたりとか
するようになっていくのでしょう。
ふつうの地面に着地すると、またはずんでどこかへ飛んでいってしまうので、きっと
衝撃を吸収するふわふわの素材で出来た地面の、駐車場的なスペースがあるはず。
すごい。びよんびよんはふわんふわんをも兼ね備えているのですね。

また、バネとともに発展してきたびよんびよん族ですから、きっと考案される発明品
さえも、そのどれもがバネが主な動力にちがいありません。
きっと文化交流をした暁には、人類の歴史は大きく一歩前進することでしょう。すごい。

ここにはバネのすべてがあるのです。バネのすべてが、ここにはあるのです。
温泉だってあります。ホットスプリングです。スプリング。バネです。
あと春です。スプリングです。バネです。すごい。
道だってまっすぐじゃありません。縦に横にナナメに、びよんびよんに延びています。
すごい。

城下の街をわくわく歩くぼくの肩に、ふいにびよんと、心地よい感触。
だれかに肩を叩かれたのかな?と思いきや、振り返れどもだれもいません。
ぼくひとりです。
気のせいかなと再び歩き出すと、ふたたび肩を、頭を、びよんと叩かれるのです。
なんだろう、と、また、振り返ります。
ぼくひとりです。
なんだよもう、と、ぼくは空を仰ぎます。
降ってきているのです。そう、バネが。バネが。降ってきているのです。
そう、ここでは雨すらもバネなのです。このびよんびよん王国では、
ストレートでまっすぐなものなど、存在しないのです。それらはすべてすべからく、
バネ状カールでびよんびよん系。そう、だからここでは雨すらもバネなのです。
だからバネが降ってきているのです。
バネの雨を降らしているのも、無数のびよんびよんが絡まった、スチールウールにも
似たびよんびよんクラウドです。

雨がはげしくなります。落ちてきた、水でできたバネがそこらじゅうで跳ね返って、
地面を、壁を、ぬらしながら、削れて、やがてなくなっていきます。
この国では傘は売っていません。上からの雨だけを防いだところで、どうせ跳ね返る
雨ですぐに濡れてしまうのです。
柄がびよんびよんになっている傘を想像した人は残念でした。

らせん状の階段を降り、ぼくは喫茶店に入ります。
淹れられるコーヒーが、らせん状の軌道でカップにおさまっていくのを見て、
おもわずおおっと声を上げてしまうぼくです。
お客さん、旅行者の方ですか。
お店の方のビブラートの効いた声が、薄暗い店内にびよんびよんと木霊するのです。出てくる、ねじれたおしぼり。



雨宿りのつもりが、つい長居してしまったぼく。
びよんびよん窓から見えるは、ばねの虹。この国ではすべての物理法則が
びよんびよんに従っているため、光だって、まっすぐなんて届きません。

すべては奇妙に光り、照り返し、そして、影を落としているのです。
まっすぐの世界に慣れたぼくたちの目には、そのためにmそれらすべてがまるで
現実ではないものであるかのように映るのです。すごい。



すばらしいひとときを過ごしたぼくは、元の世界に帰ることを告げます。
それは誰にともなく放った呟きですが、この国じゅうをおかしな軌道で跳ね回り、
きっと誰かの耳に届いたことでしょう。

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