道に剣が立ってて
春だし、生えたのかな?とおもったのですが
よく見るとそれは、全ての悪をなぎ払う伝説の勇者のつるぎでした。
地面に、深々とぶっ刺さっていました。
通りかかる人たちが次々と
「その剣は勇者にしか抜くことができないぜ!」
「その剣は勇者にしか抜くことができないぜ!」
「その剣は勇者にしか抜くことができないぜ!」
「その剣は勇者にしか抜くことができないぜ!」
って言うので、じゃあぼく、勇者だし、抜こうと思って
引っ張ったのですが、びくともしませんでした。
最初は、この剣がニセモノだから、勇者なのに抜けないのかな?
とおもったのですが、あまりにも抜けないので、だんだん、
もしかして、ぼくは勇者じゃないのかもしれない……という
ネガティブな思考が脳を支配し始めました。
こんなことばかり考えていちゃあ、抜けるものも抜けないぜ
とおもったので、一旦諦めて、剣にもたれてお弁当を食べたり
ギターを弾き語ったり、ちょうちょを追いかけたりしました。
一服して、よし、そろそろ抜けるかな?とぼくが立ち上がったその時
突如、暴走トラックが突っ込んできました。
あぶない!とおもったのですが
トラックは勇者の剣にぶち当たってとまりました。
なるほど、暴走トラックは勇者じゃないですから、
どんなに勢いよくぶつかっても、剣は抜けたりしないというわけでした。
また、暴走トラックは全ての悪に含まれていなかったようで、
剣によって傷つけられないので、こわれたりもしていませんでした。
「すごいね」
っていって、暴走トラックの暴走運転手さんと一緒に
勇者の剣の前で記念撮影をしました。
そこへ、暗黒魔王デスダークデビルが現れました。
暗黒魔王デスダークデビルには以前、ぼくが勇者だと言ったことがあるので、
勇者の剣を抜こうとしているぼくを見るなり、あせったのか、
究極の暗黒大魔法・デスダークインフェルノをぼくめがけて放ちました。
あぶない!とおもったのですが
究極の暗黒大魔法・デスダークインフェルノは勇者の剣にぶち当たってとまりました。
なるほど、究極の暗黒大魔法・デスダークインフェルノは勇者じゃないですから、
どんなに勢いよくぶつかっても、剣は抜けたりしないというわけでした。
また、究極の暗黒大魔法・デスダークインフェルノは全ての悪に含まれていなかったようで、
剣によって傷つけられないので、こわれたりもしていませんでした。
「すごいね」
っていって、暗黒魔王デスダークデビルと一緒に
勇者の剣の前で記念撮影をしました。
そこへ、パワーショベルくんがやってきました。
パワーショベルくんは高校の同級生で、工事車両です。
高校卒業後、ピアニストになる夢を追いかけて東京に出て行ったきり
ぼくとは連絡をとりあっていなかったので、久々の再開でした。
やあパワーショベルくん久しぶりだね!なんて、再開をよろこぶあいさつもそこそこに
すぐそこに生えている勇者の剣の話をすると、
「Muggyは勇者なのに、抜けないのはおかしいピカ」
といわれました。
ぼくもそうおもうけど、ゆっくり時間をかけて、自分のペースで
抜いていくつもりだよ、という風に言ったのですが、パワーショベルくんは
「そんな悠長なことをしていたら、知らないあいだにほかの
別に勇者じゃないやつに、抜いてもっていかれてしまうかもしれないピカ」
と言うのです。
勇者じゃないやつに、剣が抜けたりするのかな?とおもったのですが、
よく考えれば、勇者のぼくが抜けない時点で、すこしおかしな勇者の剣です。
なにかの手違いがあってもおかしくないとおもえてきて、
怖くなってきました。
どうしよう、とあせるぼくに、パワーショベルくんは
「名案があるピカ!」とピカピカ言い、
いきなり地面を掘りはじめ、勇者の剣を、
周囲のアスファルトごとえぐり取ってしまったのです。
「これを家に持って帰って、毎日少しずつ抜いていけばいいピカ」
と言って、パワーショベルくんは勇者の剣をぼくのほうに放りました。
すごい!さすがはピアニストというだけのことはある!
とおもったのですが、飛んできた勇者の剣の柄の部分が
ぼくの頭におもいっきり当たって、痛い目にあわされたのが残念でした。
あとで見たら、こぶができていました。
パワーショベルくんにお礼を言ったあと、
アスファルトの塊に刺さった勇者の剣を引きずって、
ぼくは家に帰る道をいそぎました。
最初のうちは、がんばって家まで運ぼうとおもったのですが
途中まで行ったあたりで、重くて疲れてしまって、
単四ちゃんの家の前を通りかかったとき、そうだ、単四ちゃんの家に
しばらく置いておいてもらおう、とおもいました。
単四ちゃんは、電池で、体には濃水酸化カリウム水溶液が流れている、
単四のニッケル水素充電池で、女の子で、ぼくの友達です。
単四ちゃんの家はマンションだったので、エレベーターで単四ちゃんの部屋まで、
勇者の剣を持っていきました。
単四ちゃんはこの剣を見たら、すごい!とほめてくれるかな?とおもったのですが
チャイムを鳴らして出てきた単四ちゃんは、剣を見るなり、
勇者の剣だよ!とか、ぼくが説明する間もなく
またこんなもの持ってきて!と怒りました。ぼくはがっかりしました。
とりあえず部屋の中に運び込もうとおもったのですが
アスファルトのカドが引っかかって、入りませんでした。
単四ちゃんがいつまでもうるさく怒るので、ぼくはあきらめて家に帰りました。
ぼくの家のドアはちょうど、アスファルトの塊と同じ形だったので
ピッタリ中まで入りました。ベッドの上に置いたのですが、
塊は土がついていてきたないし、場所をとるので、なんだか嫌になってきました。
ぼくは前にMTGをよくやっていて、その時使っていたデッキが
相手のデッキを削って、なくしてしまうタイプだったので、
そのMTGのデッキで、アスファルトをこすってみました。
すると、上手くいって、アスファルトはみるみる削れて、無くなってしまいました。
カードが傷ついてしまうかな?とおもったのですが
ちゃんと二重スリーブにしていたので大丈夫でした。
そのあと、よく見たら、勇者の剣を抜かずして、
勇者の剣を手に入れたっぽいことになっていることに気がつきました。
鞘がないなあとおもったのですが
魔法で出しました。
★Web拍手お返事
>
(T),このWeb拍手を生贄に捧げる:対戦相手1人を対象とする。
そのプレイヤーはあなたのコントロールする文字列をコントロールする。 >
対戦ツールが無かったら、作ればいいのさ!
とリア友にいわれちまちま作成中です。
1ソフトでMTG,ポケカ,遊戯王,DM,ついでにトランプ,UNO遊べるものにしたいですね。
とある仕組みで権利関係はパスできそうなので。
出来なかったらどうしよう・・・。
(@スラピーさん)
署名忘れなんてものともせずしれっと書き足しましたよ!
署名とMTGというとラヴニカブロックの各ギルドの調印を思い出します。
あの世界観は中二病に響きまくりでした。
ソフト、権利諸々のこともですけれど、
そんなに色々作るのすごい大変そう……とか思ってしまいました。
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