ぼくのこと、まるで天使のようだって噂してもいいよ
こんばんは。
検定ってあるではありませんか。
漢字検定とか数学検定とかまふやか検定とか。
最近だと、ご当地検定というのがはやったりもしていますよね。
あれ、ぼくもなにか新しい検定を考えて、なおかつそれがはやって
みんなが受験しに来たりしたら、かなり面白いよなあって思うのです。
というわけで、「揚げ足検定」というのはどうでしょうか。
人の発言の、普通ならスルーしても差し支えないような些細な間違いや、言葉尻をとらえて
いちいちそれにつけこんだりする、揚げ足をとるというやつです。それの検定。
どうですか。これ、語感も良いし、流行りそうなにおいがするではありませんか!
試験で出題されるのは、ごくごく一般的な教養問題や時事問題です。
しかし、それに普通に答えているようじゃあ、そうそう合格できません。
試験問題にはところどころ、誤字脱字があったり、問題自体にも微妙に不備があったり
するので、それの揚げ足を取っていく必要があるのです。
とはいえ、なんでもかんでも揚げ足をとって良いわけではなく、
たとえば試験開始のときに、問題の内容が間違ってました、っていう訂正プリントが
配られたりした場合には、もうその問題に対して揚げ足をとってはいけません。
こちらがつっこむ前に相手が訂正したら、もう深追いはできないというのは
アゲアシストの基本ルールです。
ただし、訂正プリントの内容と、問題用紙に書いてある内容が全く一緒で、
どこを修正してるのか分かんない場合とかは例外です。
試験のあとには面接もあって、ここでも面接官がおかしな発言を時々するので、
うまく揚げ足をとっていく必要があります。
これに合格したら、晴れて揚げ足検定の級がもらえるというわけですね。
なんか受験そのものも面白そうだし、これは人気がでそうです。
でも、よくよく考えてみたら、揚げ足検定持ってる!っていう人としゃべるのやだわ、ぼく。
履歴書の資格欄とかに揚げ足検定とか書いてたら、たぶん面接落ちますよね。
なんか、この検定って「嫌な奴です」という自己紹介にしかならない気がしてきた。
持ってることがむしろ足かせにしかならないような、所謂マイナスの検定ですよね。
これじゃあだめだ。良いの考えた!と思ったけど、どうやら良いのは語感だけだったようです。
なにか、似た言葉で、べつのを考えましょう。
「ハゲワシ検定」。
完全に似た言葉なだけで考えましたが、鳥のハゲワシについての詳しさを試す検定です。
揚げ足検定にくらべるとインパクトは減りますが、これだったら持ってても
ハゲワシに詳しい人なだけで、嫌な感じはしなさそう。
ただ、少しピンポイントすぎて需要が無い気もしますが……。
試験内容も、揚げ足検定と同じで筆記と面接。
ただし、面接では、一人称が「ワシ」のハゲたおっさんが面接をしてくれるのですが
ここで「あなたのほうがよっぽどハゲワシですけどね」みたいなことを言ってしまうと
もれなく揚げ足検定のほうがもらえてしまいます。注意。
「ならわし検定」はどうでしょう。
日本各地に伝わる風習についての検定です。
「敷居を踏んではいけないのはなんでか」とか
「夜に爪を切るといけないのはなんでか」とか、そういうのですね。
あっ、これはなんか普通に良さそう。っていうか、もうありそうです。
上のほうの級の試験になってくると、一般的に知られているもののほかに、
ある小さな村にのみあるマイナーならわしについての問題が出たりもして、
なかなか歯ごたえのある内容になっています。
ただし、昔からの言い伝えや風習特有の、理不尽だったりいい加減だったりする点に
少しでも突っ込みを入れようものなら、即座に揚げ足検定がもらえます。注意。
「なけなし検定」。
「寿司桶に入ってるなんか緑のギザギザのやつ、あれを無理にでも食べようとした場合、
おおよそ何回噛めば飲み込むことができるか」
みたいな問題とかが出ます。
ものすごく狭いジャンル、あるいは明らかにもう皆が知っている常識のなかから、
それでもなんとか難しそうなことを探し出して、なけなしの問題を出題してくる検定です。
もはやそれって問題出すほうの心構えについての話で、これを取ったからといって
その人が一体何なのかとか全く分かりませんが、それはそれ。
なけなしのところから問題探し出して出しているので、突っ込みどころ満載なのですが
これに突っ込んでしまうと、泣いて逃げても無理矢理に揚げ足検定がもらえます。注意。
ちなみに、上記の問題文を読んだときに
「なにが緑のギザギザだよ、あれバランっていうんだよ馬鹿」
とか思った方にも、もれなく揚げ足検定1級を差し上げます。
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