ぼくには幼少のころより抱いていたある確信めいたものがあったのですが、
それが今日はズタズタに打ち砕かれてしまった日でありました。
駅前で、なんだかあまり柄のよろしくない方々が
かよわいトカゲをつかまえて、いじめていたんですよ。
「シッポ切ろうぜ!」
とかそういうくだらないノリで。
なんといいますか、見ていてとっても不快ですし
なによりトカゲがかわいそう。
なんとかして助けなければと思ったわけです。
しかしその方々は鉄の騎士さながらで、まともに戦っても勝ち目はなさげ。
んで、冒頭でも書いた真実めいたそれを、今こそ活用すべき!
この瞬間がぼくの人生における最大の輝きぞ!と思いまして
ぼくは駅前のキンギョソウの茂みに隠れたまま、めいっぱい叫んだのです。
「ボリス!!」
と。ここで竜とかが16匹くらい出てきたりとかして
華麗に救出作戦を敢行するものとぼくは思い込んでいたのですが、
16匹の竜はあらわれず、それどころか周りの人さえ去っていく始末。
待てども待てども青と金のストライプを拝むことはとうとうできず、
しばらくその場で考えこんだ末、1つの結論がでました。
「もしかしてぼくはエルマーじゃないのかもしれない……?」
今までずっと自分のことをエルマーだと思っていたぼくにとって
それはあまりにも衝撃的で、今までの、そしてこれからの人生の意味すらも
見失いかねないほどの辛い現実でした。
そういえばぼくはトリコロールの服は着た事がないし、みかんは皮ごと食べるし、
そもそも知り合いに竜がいません。
今までは信じきっていたから、あえて自分とエルマーを比較するということなど
してきませんでしたが、今になって改めて考えると、ぼくとエルマーの共通点なんて
かれき町に住んでいることくらいしかありません。
ほかにも、図書館へ行ってエルマーのぼうけんとか読めば読むほどに
ぼくとエルマーが同一人物でないことは明確になっていきました。
っていうかよくよく考えると、まずぼくの名前はエルマーじゃありませんでした。
そのことに気づいて、年寄りのねこに話したのですけれど
今までしゃべっていると思っていたねこはニャーとだけ鳴いてどこかへ行ってしまい
ぼくは蝶の短剣を握り締め、悲しみにくれながら図書館を後にしたのでした。
★Web拍手お返事
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3月19日の記事の(4-1)×2=8が理解できませぬ。 書き間違いですごめんなさい。
気が向いたら直しておきますです。
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